2025/12/13 有賀製材所の作ったペチカがある「和えの里」にてペチカのお話会を開催しました。

今回、語り手としてお招きしたのは、有賀真人さん(有賀製材所代表取締役。地域の材を使用した製材・建築を手掛けるとともに、50年前から伊那谷にペチカを作り続けてきた企業。)、大塚光太郎さん(東京大学大学院にてペチカの歴史についての論文を発表。現アルピコ蓼科高原リゾート株式会社と業務委託契約し、寒冷地での高機密高断熱住宅を主に別荘地にて取り扱う。)、山本祐二朗さん(東京都三宅島で生まれ育ち、中学校技術講師を経て、箕輪町へ移住。「千万音・チマネ」の屋号にて、天然木スピーカーを作っている。)です。

参加者の中には初めてペチカを見る方も多くおられましたので、実際にペチカに薪を入れてみたり、触れたりと,体感しながら[ペチカの基礎]となる構造、歴史、適した地域などを知る機会となりました。その中で、有賀さんが強調されていた「ペチカと薪ストーブは全く別のものである」という点において、会場にいた方は体感することができたのではないでしょうか?

お三方が仰っていたように、ペチカは、薪ストーブも含め他のどの暖房器具と比べても異なる点が多くあります。その中でも体感した方が口を揃えていう「ペチカの魅力」。それは、日向ぼっこしているような暖かさ(大塚さんのお話では「ぺちかぼっこ」という言葉が歴史的にも出てくるようです。)が一日中続き、遠赤外線効果で身体の芯から温めてくれるという点ではないでしょうか。耐久性においては、一度設置したら一生物です。

また、「炎」を楽しむ薪ストーブとは異なり、ペチカは暮らしの中で、『暖をとる道具』とともに、『心を潤す道具』でもあることを皆さん感じたようでした。でもこれは。ある程度ペチカを使いこなす能力が必要となります。つまり、ペチカは一度火を灯したら温め続けていたい性質があるため、暮らしの中での管理能力が必要となるのですね。

そして、炎を楽しむ薪ストーブとは異なり、ペチカは暮らしの中で、『暖をとる道具』とともに、『心を潤す道具』でもあるということ。ですが、この点においておそらく重要となるのが、「暮らし」の中での管理能力なのでは?ということがお話会で浮かびあがってきました。


なぜ、有賀さんがこの伊那谷で50年近く400基近いペチカを作り続けてこれたのか。そこには、伊那谷の材や気候との関わりだけでなく、伊那谷に暮らす人々の中に根付いてきたソウル「ズク」のある地域柄であるのかもしれません。

会場でも度々出てきた「ズク」という単語。これは伊那谷の方言です。どうやら日本語に当てはまる単語はないようですが、意味合い的には「根気」、「忍耐」などに近い気がします。ペチカに適した赤松、杉などの針葉樹の材を、山や人と繋がり、暮らしに循環させること。それは1日で成し得ることはできず、薪の確保も含め、ペチカを作ったら一生の覚悟が必要です。

そこだけ聞くと尻込みしそうですが、ペチカを実際に体感してみると、それだけの苦労はズクを出してやってみようと思える魅力がペチカにはあるのです。

興味のある方は、伊那市にある「和えの里」を訪れてみてください。気さくなオーナーさんがサイフォンでコーヒーを淹れてくれますよ。



改めて、お話をしてくださった有賀さん、大塚さん、山本さん、和えの里様、アーツカウンシル早川様、ご参加くださった皆様、ありがとうございました。ペチカが適した伊那谷の地に、ペチカユーザーが増え、豊かな循環が生まれることを願って、またお話会を開催できればと思います。

このワークショっプは箕輪町森づくり・活用事業補助金助成事業として開催させていただきました。ありがとうございました。